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マス棚 / 岩下慧
マス棚 / 岩下慧
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2026年の岩下慧作品展に向け制作されたオブジェクト。
朽ちた木製のマス棚から着想を得られたもので、道具のような彫刻のような曖昧さが今展示を象徴していると感じ展示ヴィジュアルのイメージとしても使用したものです。
さまざまな向きで立てたり、寝かせてガラス天板を置いたり、棚としてもオブジェとしても自由に楽しんでいただけます。
以下、この作品について寄せた作家の言葉です。
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アルミニウムの平板を組み合わせてつくった小さな棚。
構造は極めて単純で、縦材には切り欠き、横材には堀込を入れ、平ヤスリで溝の形を整え、それぞれを噛み合わせて叩き込むことで組み立てている。
接合方法としては特別なものではないと思う。
木工や建築の世界では古くから見られるし、金属加工の世界においても、やろうと思えば難しいものではない。
私は長く鉄工所で働いてきた。
図面を描き、寸法を決め、高い精度でものをつくり、完成形に向かって一つひとつ工程を積み重ねていく世界だった。
そんな折、京都に拠点を移した頃からだっただろうか、私は民藝や古道具にも惹かれていった。
そこにあるのは、完成形としての美しさというより、誰かに使われ、擦り減り、修理され、時間を重ねながら今の姿になったものだった。
私はその両方を見ていたい。
この棚では、構造そのものよりも、自分の中でそれらがどのように繋がり、一つの形になるのかを確かめてみたかった。
図面はない。
もちろん頭の中には、おおまかな構想はあった。
しかし寸法や構成は最初から決まっていたわけではない。
手元にある材料を見る。
どの長さにするか。
どのように繋げるか。
どのように並べるか。
どこを残すか。
どこを欠くか。
だんだん形が決まっていく。
まだ眺める。考える。
ここはこうしないと。
もう少しこうしたい気がする。
手を加える。
その繰り返しだった。
途中で高さを変えた箇所がある。
あとから切り欠いた箇所もある。
どちらも当初の予定にはなかった。
横材に一箇所だけある堀込を見ると、つくっていた時間を思い出す。
もともとすべての材が十字に重なる構成を考えていた。
実際に組み立ててみると、一箇所、ふと、線の重なりを外したくなった。
でも、そうすると隠れていたはずの堀込が現れる。
その堀込は本来であれば見えなくなる部分だ。
それは見えてもよいものか少し迷ったが、それもまた、なんとなく自分らしい気がして、結局一度外して切り欠くことにした。
現れた堀込、それが今ではとても好きだ。
物と物。
人と人。
過去の自分と現在の自分。
思いもよらないものと出会い、
気づけばそれに惹かれていること。
そんな目の前にあるもの同士が、どのように繋がるのか。どうすれば心地よく馴染むのか。
振り返ると私が関心を持ち続けているのは、いつもそのようなことなのかもしれない。
この棚は、物を置くための道具なのだろう。
けれど同時に、繋がり方について考え続けた時間の集積でもある。
完成した姿よりも、その形になるまでに流れていた時間にこそ、らしさが宿っているように思う。
この棚が暮らしの中に置かれれば、
使い手によってまた時間が重なり、
おそらく別の姿がずっと生まれていく。
私も、ずっと途中にいる。
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size : w649 d120 h450 (mm)
-岩下慧アルミニウム作品の経年変化について-
アルミニウムの素地材を使用しているため新品時は使用の際につく染みや傷が気になる事もあるかもしれません。しかし使い続けていくにつれ数ヶ月でそれらは徐々に馴染んでいき気にならなくなります。むしろそれらが積層していくことで風合いとなり独自の景色が生まれます。その後は表面に塗膜が形成され1年ほど経過すると染みなどはつきづらくなります。
アルミニウムは鉄や真鍮などと比べ錆びにくいことも特徴です。
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岩下慧
1996年 大阪生まれ
工業用機械を製造する家業の鉄工所で経験を積んだ後、
拠点を京都に移し、個人で活動をはじめる。
古びた道具や家具に宿る美しさに惹かれ、金属の手加工を軸にした
制作手法を確立。
現在はアルミニウムを主材とした家具、什器、道具などを手がけている。
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※ご覧になるブラウザによっては実際の色味と差が出ることがあります。
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